キングス&クイーン

数年前に見た「夜の子供たち」というフランス映画。偶然昨日、自分の感想を読み返していたら、

》本来攻撃的な本能を持つ人間はそれでも愛情を求め、最後に
》は攻撃の対象すらも愛してしまうといいます。

と書いていました。

「キングス&クイーン」も本質的には同じことを語っている映画です。そしてこの映画の中で最も印象的だったシーン

「お前はエゴイストだ。今の私は、静められないお前への怒りで一杯だ。」

死を目前にした父親が我が子に対して遺した言葉です。心臓を打ち抜く拳銃よりも強力な、まるで鋭利な刃物のような言葉。彼が自分の人生をテーマに書き続けてきた作家だということを差し引いてもこれほど凶暴な言葉があるでしょうか。
でもこの台詞、僕には只の憎悪の言葉には聞こえませんでした。映画を見終えて改めて反芻してみて(決して無理矢理に映画の中に希望を見出そうとしたからではなく)これは彼女を愛していなければ決して言えない言葉なのだと。

愛することと憎むことが凄まじく渦を巻いているような父親の感情。彼らは間違いなく血の通う親子です。映画が主人公格のノラの独白で進行する形式には最初から一種の「危うさ、疑わしさ」のようなものが漂っていたのですが、彼女の独白に対して、父親の方も、より辛辣で凶暴な独白で応えてみせたのでした。

もうひとつ大好きな場面

人格破綻者のビオラ奏者イスマエルがエリアスに真摯に語る「人生について」。
義理の親子であったこともある二人ですが、イスマエル自身が語っていたように彼ら二人は「親友」です。
「夜の子供たち」のラストでも年の離れた男同士が心を通わせるシーンがあるのですが、こちらの二人は「同志」という感じでした。

小さな雑貨屋を営むイスマエルの父親が強盗3人組を前に貫禄を見せつけてくれたシーン、そしてその直後のジムでのトレーニングシーン(これは死ぬほど笑った)。二人もまた紛れもない親子なのだとしたら、彼もまた意外としぶとく生き残っていくのかもしれません。エリアスの良き親友として彼の力になっていけるのかもしれません。

あっ、そう言えばドヌーヴは僕が偶然関連づけた2本の映画の両方に出演していた!
06/07/23(日) 19:07

「夜の子供たち」

夜の子供たち

 

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