おもちゃ箱のような、玉手箱のような、映画の楽しさ、映画の可能性をギュッと詰め込んだ映画。
キャスティング、編集、美術、どれも手を抜いてないが、音楽も良かった。
刑務所(留置所?)を脱走したグスタヴとムスタファが「鍵の秘密結社(コレ最高!!)」の手引きで逃げ込んだ教会。「これを着て歌え」の支持に従って、歌うミサ曲とその場面のBGMが見事にシンクロする。
細部に至るまで手を抜かず、むしろ細部こそが気が利いていて楽しい。毒もタップリあるけど愛も溢れていて、大河ドラマなのに自主映画のようなとぼけた味もあって。
僕にとっては「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」以来のウェス・アンダーソン。若き才能は着実にキャリアを積み重ねて来たんだなぁと。
至福の映画体験を締めくくるエンドロールのラスト。つまり「終わりの終わりの終わり」のあのコサックダンスおじさんは猛烈に可愛くて最後まで席を立たずに見る映画好きへの最高のプレゼントだった。