ぼくのお日さま

陽の光が射し込むリンクでの二人の息の合ったスケートが、とにかく美しくて、やっぱり僕も拍手をしたくなってしまいました。
少しずつすれ違っている思いが、あの時だけ、奇跡的に少しずつ噛み合って、それがあの素敵なスケーティングとして結実していました。
誰かと誰かの思いが繋がる。ただそれだけのことが難しくて、壊れやすくて、後から振り返ってみて、「あぁ、あの時のあれは、あの一瞬だけの奇跡だったんだなぁ」と、懐かしく思い出されたり、ほろ苦さや酸っぱさと共に思い出されたり。
大人がそんな風に振り返る過去を、一切持たない(必要としない)少女は、少女特有の残酷さ(まるで楊徳昌の映画に出てきそうな)をナイフのように振りかざしながら、それでも躊躇することなく少女であり続けます。
そして、やはり、それを持たない少年は、そのひた向きさ、愚直さを持って、前を向いて、顔をあげて、真っすぐな道を歩き始めます。歩き続けます。

冬晴れの下北沢駅上の小さな映画館で見ました。良い映画、良い映画館でした。
春から都心の中学に通うことになる娘たちと、待ち合わせをして映画を見られたりしたら最高。日の光の中、振り返る過去など一切持たず、彼女たちが歩む道を、傍らで見守ることが出来たら、それ以上に嬉しいことはありません。

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