2016.7.7
僕たちの周りには色々な人がいる。
美辞麗句を並べて他人を先導しようとする者
力を背景に人々を恫喝しひれ伏させようとする者
有り余るほどの財産に飽き足らず尚も富を求めようとする者
周到にセルフプロデュースを施した結果として、そういう人物が頼もしく見えたり、優秀に見えたり、未来を託すに足るように見えることもある。
でもどんなに取り繕っても誤魔化せないこともある。
弱きもの、小さきものに優しく寛容でいられるか。そういう人たちの自由や幸福のために勇敢に振舞うことが出来るか。
その1点だけをとってしっかり目を凝らして見れば、その人が本当に信頼に足る人物かどうかは見えてくるような気がする。
久し振りにブルーレイで再見した「グランドブタペストホテル」の主人公、伝説のホテルのこれまた伝説のコンシェルジュ、この映画の主人公グスタヴがとにかく良い。
キザで我がままで女たらしだけど、仕事は超一流。頭が良くて、センスもいい。そして何より彼は優しく勇敢だ。弱きもの、小さきもののために命を張れることが出来る。
彼の敵として、あらゆる不条理な暴力を体現するウィレムデフォー演じる殺し屋がその対極にいる。彼が殺めるのは「小さな動物」「法に仕える弁護士」「足の不自由な婦人」。
権力を盾に法を軽んじて、小さな者、弱い者の権利と自由を奪おうとする人物に決して気を許してはいけない。このタイミングにこそ、改めてそう思う。