ヨシカは書き言葉をそのまま声にする。独白したり、話しかけたり、叫んだり、絶唱したりする。
自分と向き合う方法は色々あって、それは、鏡に映る自分を見つめることかもしれないし、万歩計や体重計や血圧計で測ることかもしれないし、雪の上の足跡を振り返って見ることかもしれない。
僕にとっては書くこと。
キーボードで打ち込むだけなら、ただの文字だけど、絞り出すような声で書くこともあれば、天にも昇る心地で鼻歌のように書くこともあれば、大きな声で叫ぶように書くこともある。
その延長線上に、強烈で偏向だらけの自我の延長線上に、大切な人がいる。
紙の上では自分の思った通りの理想の相手なのに現実はそうじゃない。思い違いもあれば、何も見えないこともあれば、裏切られもする。だけど、突き進むしかないときもある、何もかもをなぎ倒して自分の声を信じて目をつぶって飛び降りなければいけないときもある。
友達だって家族だって恋人だって、自分と同じように世界を見て、自分に興味を持ってくれて好きになってくれて、冒険や探検や暴走や自己嫌悪や有頂天を一緒に楽しんでくれる人がいる。
もしそういう人がいるのなら、その人と一緒に、その人のことを、自分のことを、また一緒に言葉にすればいい。