真実の力

空はあんなに青いというのに
雲はぽっかり浮かんでいるというのに
鳥はさえずり、風は悠々と尾根を渡っていくというのに・・・

事故現場を取材した記者の原稿を同僚が読み上げるシーンの、あの口調や、リズムを妙に憶えていて、それだけがフラッシュバックして「あれ?何の映画だったっけ?何かとても重要なシーンだったような気がするんだけど」ということが度々あった。

もう一つ、事故現場に残されていた遺書を堺雅人扮する記者が読み上げるシーンのあの調子も同じくフラッシュバックする。

パパは本当に残念だ。
きっと助かるまい。
本当に今までは幸せな人生だった。
感謝している。

力のある映画で、記憶に残るシーンは沢山あるけど、この2つのシーンは演じ手から離れて、言葉だけがそこに残っていたり、真実だけがそこに存在していたりしている。
そこには映画の力を上回る言葉の力、真実の力があったのかもしれない。

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