「スウィンガーズ」

とにかくよく喋る。冒頭のヨタ話から既にタランティーノ風。違うのはこの映画は最後までそのペースで進むというところです。何度も声を上げて大笑いしましたが、一番笑えたのは「レザボア・ドッグス」のパクリシーンでしょうか。
その前のシーンで映画のポスターをさり気なく見せておいて、いきなりのあのスローモーションにはやられました。
タランティーノ作品の魅力が「喋り」と「暴力」だとしたら、その前者だけを徹底的に追求し、後者を徹底的に排除したのがこの作品ということになるでしょうか。「スウィンガーズ」と呼ばれる男達にとって「カッコいい事」はそういう事なのでしょう。

スーが拳銃を持ち出したことを仲間たちが咎めるシーンではそういう拘りを感じました。

主人公のマイクはコメディアンということもあり、いつもクヨクヨしている性格が何となくW.アレンを連想させるのですが、彼の場合にはいつも楽しい仲間たちが側にいます。
アレンが恋人とのことで悩む時、彼は友達にそのことを相談するよりも、自分に語りかける、もしくは観客に直接話しかけていました。マイクにはおせっかいな友達がいて彼等がどうにも頼りないマイクのことを慰めたり、叱咤したりしてくれています。反面、マイクは彼等の影響で常に自分の幸せと他人の幸せを比較してしまったりもするのですが。
マイクに限らず「スウィンガーズ」たちにとっては「カッコ良い事」の必要条件がいくつかあって、それを一つ一つクリアーしていくことこそが当面の目標だったりするようです。この点でも明らかにアレンとは違うでしょう。

明るい余韻を残す、なかなか楽しいラストシーン。「暴力」に変わって全編を通して描かれていたテーマが清々しい。どんなにお気楽と言われても。

「ま、失恋と友情の物語だけど、ね。」

という感じです。

P.S.
テレビゲームに興じる主人公たちの部屋を訪れる配達員はスパイク・リーに似ていた。
97/10/10(金) 00:37

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