バンテージポイント
スペインで起こった爆弾テロ事件の同じ時間の流れを異なる8つの視点から見せることで、謎解きをしていく凝ったつくりのサスペンス作品。
9.11以降の世界観を色濃く反映していてテロリストや関係者が無慈悲に殺されていく、救いの無いストーリなんだけど、その中に事件現場に居合わせた旅行者として登場するフォレスト・ウィテカーが好きだ。
爆発の直後に自らの無事を知らせるメッセージを別居中の妻と娘に送る。それから娘と同じ年頃のスペイン人の女の子を守るため、救うために体を張って走る、飛ぶ。
あの大きな体を揺さぶって一生懸命に走る姿と、それからあの垂れ下がった優しい目。
彼の存在は、この作品に血を通わせる上でとても重要だ。「感情を持たない純粋なただの暴力」ではなく、家族や恋人や同僚のために命がけで奮闘する愛憎の方に光を当てることが出来ている。
技巧的な構造の方に目が行く映画、冷酷なテロリストの映画。そこにそれとは正反対の要素をかけ合わせることで絶妙の奥行きが生まれている。
デニス・クエイド演じる無骨な刑事のプロとしての矜持と、ウィリアム・ハート演じる孤独な大統領との友情にも似た信頼関係も、またいい。
スーダラさん、こんにちは。
すっかり報告とお礼が遅くなってしまいましたが、先の拙サイトの更新で、こちらのページを例の直リンクに拝借しております。今回のサイト更新で拙日誌をアップした『カメラを止めるな!』と同じく本作も、凝った造りとそのテンポのいい鮮やかな編集が評価されがちだと思われますが、好もしさのベースにあるのは、本作にてスーダラさんが指摘しているような部分ですよね。
ちょうど、そんなことを想起しました。ありがとうございました。
ヤマさん
こちらこそ返信が遅くなりまして恐縮です。
何の前知識も無く、ふらっと劇場に入って見たのが最初だったのですが、やはり最初はその構成力に感心しました。
その後、何度か繰り返して見ているうちに登場人物たちの背景やキャラクターもよく出来てるなぁと感心し、その一人が彼だったという次第です。
ヤマさんの感想も改めて拝見したのですが、
やはり僕とは全然違う視点で面白いですね。
編集の見事さを掘り下げて書かれていたのと、あとはウィリアム・ハート演じる大統領の秘めた理想、ひいては彼の国のリーダー像、ひいては甚だ乏しい我が国のリーダー像と、いずれも首肯するばかりでした。