この森で天使はバスを降りた

映画の冒頭、パーシーは電話の相手に向かって見たこともない風景を天国のようだと語り、同僚にこう漏らします。
「人は真実よりも嘘を好むの」
そう、人は真実よりも嘘を好むのです。真実が時に人を傷つけ、オブラートに包んだ嘘は色々なものを覆い隠してくれるから。
天使は幸せを運んできたのではなくて、幸せは最初からそこにあったのです。
ギリアドの森の癒しの薬のように。彼女の出現により、彼女の周りの人々、町の人々はオブラートに包んだ嘘でなく真実を語り始めます。
老店主は息子への思いを語り、内気な青年は愛を語り、そして町の人だけでなく、国中の人々が作文に寄せて自らの憧れを語ります。
真実は時に人を傷つけます。
引込み思案だった妻は自己をハッキリと主張し始め、亭主は戸惑います。彼はオブラートの包みの中に閉じこもっていたいから。傷つくことを恐れた彼の行動が悲劇を呼びます。
でも、誰も責められない。「それが真実だから。」というただそれだけの理由しかないかもしれませんが。(僕は「秘密と嘘」を思い出しました。)
パーシーの葬儀。彼女に寄せて、ようやく真実を語るネイハム。辛い辛いシーンですが、これでやっと彼もスタートラインに立てました。僕はあの町全体が幸福に包まれた瞬間だと思いました。
「作文ははじめてなので、これでいいか不安です。お金もとても100ドルに届かなくて・・・」(これ、一番泣けたなあ!)
パーシーが降り立ったあのバス停から若い女性と坊やがやってきます。
今度は沢山の天使たちが二人を出迎えたのでした。
98/02/18(水) 02:21

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