ロックな宅配ドライバー(「ゴールデンスランバー」)

便利な生活を支えてくれる人の存在を思うと少し申し訳ないような気持ちになって、ちょっとは不便になってもいいからお休みしてくださいねって言いたくなることがある。
世の中の便利を影で支えてくれる「いい人」の代表選手が宅配ドライバー。そんな宅配ドライバー、そんな「いい人」を主人公に据えたのが「ゴールデンスランバー」だ。
堺雅人演じる主人公青柳雅春の「いい人」っぷりは圧巻なのだが、その先輩(渋川清彦)がまた良い。「ロックだな」が口癖で、逃亡中の彼を一ミリも疑うことなく助ける。

「犯人じゃねえんだろ?違ぇだろ?」

損得感情や多数決や「空気」に流されることなく人を信じられる人間の真っ直ぐさ。これぞ「ロック」。
後輩のために警察相手の立ち回りまで演じてくれた彼に主人公はキッチリ恩返しをする。「ロックだな。」とほくそ笑む彼がこの上なくカッコいい。

孤独な魂に寄り添うのがロックだとするなら、それは「権力だけが味方で他に誰もいない孤独」に背を向けて「あらゆる権力を敵に回して支え合う孤独」のためのものだ。

金のため、システムのために奉仕するのではなく、誰かの幸せのために365日、汗を流して荷物を届ける。
そんなロックな宅配ドライバーに感謝。

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