映画の中の大切な名前(「君の名は。」「マルコヴィッチの穴」「ラースとその彼女」)
人の名前や顔を憶えるのが苦手だ。断片的な記憶は鮮明なのに名前だけを思い出せない、顔だけが思い出せない。そんなことがよくある。
とても大切な人との間の、大切な記憶でも、そういうことが起こることがある。
そんなもどかしさをどう表現すればいいのか。
「君の名は。」の二人が憶えている断片は、とても短くて、だけど鮮烈で、その鮮烈さと裏腹に何も思い出せないもどかしさばかりが募る。スッと視界が開けて腑に落ちるようになるトリガーが必要で、それが二人の場合は名前ということになる。名前さえ思い出せれば全てが繋がる。もう一人の大切な自分と出逢い直すことが出来る。
名前が、その対象と等価値になって、潜在意識の全部が名前で埋め尽くされてしまう。そんな奇妙で可笑しい世界を見せてくれたのが「マルコヴィッチの穴」。文字通り世界の全てがマルコヴィッチという名前で埋め尽くされてしまうあの映像は職人スパイク・ジョーンズならでは。
名前の大切さを端的に語ってくれる大好きな台詞なら「ラースとその彼女」。僕自身の名前を呼んでくれる大切な人の存在や、これから自分の名前を一生をかけて好きになって欲しい娘たちのことを思いながら嚙みしめる。」
「人が言われて一番嬉しい言葉は自分の名前なんだ。 だから好きな人の名前はたくさん呼んであげるんだ」
Everyone’s favorite word is their own name,
so if you just say their names a lot,
you can see that it’s gonna make them happy.
50手前になっても、甘酸っぱく観ることができました。
まだまだイケるね。