懐かしの80年代(「ドニー・ダーコ」「ショートカッツ」)

選曲に意図があるのか無いのか分からないけど「80年代ヒットソング」が流れる会場で半日ほど勤務した。

80年代に青春真っ只中を過ごした僕にとって80年代懐古はそれなりの意味を持つのだけど、その80年代懐古自体の意味合いも少しずつ変わってきているようだ。
02年に「ドニーダーコ」を見た時に、映画の世界でも80年代を懐かしい時として振り返る流れが来たのだなぁと感慨を持ったのだが、その時はまだ自分の十代を余裕を持って懐かしむことが出来た。

それから20年ほど経った今では80年代は遥か遠い昔のようだ。陽気な楽観主義と商業主義は僕たちにとってだけ懐かしいものになり、僕たち以外の世代の人にとっては、何も生み出さなかった無為な時代と受け止められている。と、そこまで言うと悲観的な被害妄想が過ぎるだろうか。「お願いだから僕たちの80年代をキラキラのままでそっとしておいてくれ!」なーんて。

会場ではヒューイルイス&ザニュースの「パワー・オブ・ラブ」なんてのも流れていたのだけど、そう言えばアルトマンの「ショートカッツ」にちょっとだけ出演していたヒューイルイスは、なかなか良かった。
「ショートカッツ」は切れ味鋭いR.カーヴァーのいくつもの短編をアルトマンが熟練の職人芸と神の視点で一本の映画に仕立てた逸品だけど、決して80年代のものではない。(93年公開)

カーヴァーとアルトマンの紡ぎ出す『豊かなペシミズム』も既に「そっとしておいて欲しいもの」になってしまっているのかもしれない。

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