奇跡

一番好きなのは突然現れた子供達に一晩の宿を提供してくれる老夫婦。
夏になれば必ず家に帰ってきてくれると思っていた娘と、もう会わなくなってしまって何年もの歳月が経って。
「昔を思い出すなぁ。あの子そっくりだったなぁ。」
失われてしまった日本の夏の原風景を無邪気な子供達の小さくて大きな大冒険が連れてきてくれて。このシーンだけで僕はこの映画が大好きになってしまいました。

そしてそこから映画は一気に輝きだします。何でもない一日がかけがえのない一日に変わる。一生忘れられない一日に変わる。そんな夏の一日の輝きが。

僕の映画インデックスの中には「夏映画」っていうのがあって、それは基本的には男の子が冒険をして大人になる、暑い暑い夏の一日をキチンと描いてくれている映画。映画を見終えた後、ホクホクしながら胸を張って少し歩きたくなるような映画です。
「鉄塔武蔵野線」「打ち上げ花火、下から見るか横から見るか」「サマーウォーズ」・・・
もちろんこの作品もその仲間入りを果たしました。

子供達も皆上手でしたが、やっぱり一番は龍之介君かなぁ。
真面目なお兄ちゃんとの好対照で、実に肩の力が抜けていて、それでいて哲学（？）もあって、そして何より女の子にモテる。きっとお父さんそっくりなんだろうなぁ。必ずクラスに一人はいるタイプで僕はいつも羨ましいなぁと思いながら、なんだか妙に仲良くなって大好きだったりしました。

冒険を終えて帰ってきた子供達を迎える「いつもの風景」。子供達が気がつかないくらい、ホンの少しだけ違う「いつもの風景」にとても清清しい気持ちにしてもらいました。