花よりほかに知る人もなし(「ちはやふる」)
もろともにあはれと思え山桜 花よりほかに知る人もなし
誰もいない校舎に残って練習をしていた仲間と静かに語り合う。
流した汗や涙を知る人はいないけど、共に戦った仲間だけはそのすべてを知っている。
そんな絆の歌として語られる。
そんな風にあらゆるものを自身の経験や思いに手繰り寄せることが出来るのが、若さの、青春の持つ力。
酷暑の一日。青春の思い出は夏の日差しと蝉時雨と、それから語り合った友とに集約されている。
まだ幼い娘が主人公千早のスイッチが入る髪を耳に掛けるあの仕草をしたのを見て、ただそれだけで、この類まれなる青春映画の鮮烈なシーンが幾つも立ち上ってきた。
娘たちにもきっとそんな青春が待っている。