片思い世界

二人の娘たちは4月から中学生になった。慣れない電車通学、あちこちから集まってくる見知らぬクラスメイト、骨のある授業・・・そんな青春の入り口を頑張っている。
日曜日、たまたま同じシネコンで、娘たちは別の中学に進学した近所の小学校の同級生と「コナン」を見るということで、同じ時間に隣のスクリーンで家族が別々の映画を見るという、考えてみると人生初めての経験。
彼女たちの進学が決まってから、映画館に行くと専ら考えることは、いつか学校帰りに彼女たちと一緒に見る映画館での映画と、それから彼女たちのこれからの青春と・・・。

まず彼女たちが沢山のかけがえのない経験を積み重ねて12歳を迎えていることに感謝。
ある日突然、それを奪われてしまうことの悲しさ、怒り、悔い・・・。
想像することなど出来なく、いや、想像すること自体から逃げ出したくなるほどの壮絶な喪失感で、僕は震えるほど恐ろしくなったり、涙が止まらなくなったりしました。

“片思い”の種明かしも、少しだけ大仰な設定・展開も、僕はほんの少しだけ気になって、もう少し引き算してもいいかなぁとも思いました。
(同じ坂元さんの「怪物」は、実は、この作品よりも、もっと引き算してもいいかなぁというのが僕の感想なのですが)
引き算して、もっとゆっくり見たくなった、ずっと見ていたくなった、胸がギュッとなる“片思い”がいくつか。
身を焦がすような恋心、切ないほどに子を思う気持ち、大切な人の心の安らぎへの願い・・・
二人の娘たちにも必ず訪れるそんな瞬間を思いながら、時々、あの頃を思い出したり、それから娘たちの成長を見守る親の気持ちになってみたり、三人とそれから西田尚美演じる母親に次々感情移入しながら見ていました。

大好きな3人の女優が、それぞれの魅力、強みを存分に発揮して、それを一番期待していた僕としては大満足でした。あて書きなのでしょうか?
清原果耶はやっぱり目がいいなぁ。断じて人の言いなりにはならないような強さ。
杉咲花は何かをぐっと堪えて堪えて、最後に絞り出すように切々と語る言葉の強さ
広瀬すずは真っ直ぐに前を見つめて、目の前の彼に心の全部を伝えきってしまう強さ

やっぱり彼女たちに尽きます。彼女たちの魅力を余すところなく見せてくれて、彼女たちに奉仕する物語としては満点でした。もう一回見たいです。

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