今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は
やっぱりさっちゃんのあの長台詞が圧倒的で胸をギュギュギュと掴まれました。
溢れて溢れて溢れて、止めどもなく溢れてくる言葉・・・
そんな言葉を前にしたら立ち尽くすことしか出来ません。
独白のその全てを言葉にして、それが相手に伝わろうが伝わるまいが、とにかくその全てを言葉にして発してしまえる、あの頃の、青春の。
「勝手にふるえてろ」以来ですが、この監督さん、この「独白の爆発、全面解放」がとにかく良いです。
さっちゃんにしても、小西にしても、桜田にしても、彼女彼らの言葉は基本的には独白で、どうしようもなく伝えたい愛しさを、それでも相手のことなどお構いなしに大音量で、機関銃のように連射連射連射し続けます。
あの頃の、僕が知っている学生街にも、そういう言葉が沢山飛び交っていて、SNSなんてなくても、そういう言葉を持つことが出来て、反芻することが出来て、そして、ある日ある時突然に爆発させることが出来るのが「あおはる」なのだと思います。
親が子を思う気持ちだったり、亡き人を思い続ける気持ちだったり(安斎さんの亡き王女のためのパヴァーヌがバックに流れる昔語り、しみじみ良かった)、現在進行形の「あおはる」だけでなく、世代や時間の奥行きも加わって「勝手にふるえてろ」よりも、より深く、より身近に、この世界に身を置くことが出来ました。
お目当ての河合優美はやっぱり抜群の存在感で、そしてお団子頭でない方が河合優美らしさ全開でした。
それでも、それでも、やっぱりさっちゃんに不意打ち食らって、それがこの上なく心地良かったです。
堪えきれず二回目鑑賞したら、今度は、さっちゃんの一挙手一投足にギュっとなってしまって「あぁ、俺はなんて鈍感だったんだ・・・」と少しだけ、あの何とも言えない懐かしい苦い感触が蘇りました。