言葉でないものを選ぶとき(シェフとギャルソン、リストランテの夜)

娘を大きな声で叱ってしまった後、涙をポロポロ流す彼女を見ながら、後悔をする。
「もっと上手な、もっと良い方法があったなぁ。」って。
それは多分、多分だけど、彼女の方も同じなんじゃないかなぁと思う。
だから、それが正しいかどうか、それも上手いやり方なのかは分からないけど、僕は「ごめんね」と謝ることにしている。たまに言葉でその通りに言うこともあるけど、大半は何も言わないことの方が多くて
泣きじゃくる彼女の頭を撫でたり、涙をぬぐったり、ハグしたり、抱っこしたり・・・そんなことだ。
本当に大事なことを伝えたい時、僕らは言葉以外のものを選ぶことが多い。

「シェフとギャルソン リストランテの夜」
ほろ苦い夜を、仲違いして、越えてしまった兄弟。
何も語らない無言の長回し、弟の作るプレーンオムレツ、二人きりで厨房で迎える朝に語らせるべき言葉など無くて・・・。
とても誠実で、とても節度の効いた、そしてリアリティのある、忘れられないラストでした。

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