彼女の人生は間違いじゃない

嘘をつくのが下手な娘と、優しい言葉をかけてあげられない父親。
似た者同士の父娘が、二人きりの仮設住宅で食事をするシーンが繰り返し繰り返し出てくる。ご飯を食べる。生きていく。それでも生きていく。

「彼女の人生は間違いじゃない」

という言葉はそれ自体がひどく不器用でもある。不器用で飾りがなくストレートで、結果として強い。この映画を支えているのは、そういう強さや、そしてこれからも生きていく、生き続けていくという希望だ。「誰の人生も間違いじゃない」という肯定感だ。

「これは仕事だ。あんただけを特別扱いしてるわけじゃない。自惚れるな。」

そう、彼女だけじゃない。皆んなが傷と秘密を抱え、それでも働いて食べて生きている。だから彼女だけが特別なわけではない。僕にも双子の娘がいる。彼女たちのことが何よりも大切で、そして働いて、食べて、食べさせて、生きている。

胸を張って語れることばかりではないし、秘密も傷もある。でも大切な彼女たちのことをいつか抱き上げて欲しいと思う。僕の大切な彼女たちに君のことを紹介して微笑みかけて欲しいと思う。二度と会うことはないかもしれないけど、でも、心からそう思う。僕らの人生は間違ってないし、僕らは食べて、生きて、新しい命を見守って繋いでいくんだって、胸を張ってそうしていいんだって、伝えたいと思っている。

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