スター・ウォーズ

最初の三部作はまずテレビの吹き替えで見た。当時人気だった渡辺徹がルークの声をやっていたのを憶えている。
ハン・ソロがとにかくカッコよくて、彼のちょっといい加減な明るさや男気が好きだった。世界には光と闇のどちらかしか無くて、紆余曲折はあっても、最後には光が闇を凌駕する。そんな分かりやすさが中学生くらいだった僕には嬉しかった。ワクワクした。
次の三部作は「スターウォーズ」という存在が様々な取り巻きによって随分スケールアップされていて、生真面目な批評の対象になったり、熱狂的な信者と普通のファンとの格差が広がって、素朴な感想や単純な満足を語るのが少し難しくなっていた。そして僕はかなり長めの「エピソード3」を見たような気分で、正直、最初の2本はあまり憶えていない。3の畳み掛けるような悲劇、転落は好きで、アナキンの絶叫がずっと耳に残っている。
そして最後の三部作。
あちこちにポリティカルコレクトネスっぽい配慮が見られて、少しテンションが落ちなくも無いが、そういうこととは別に配置された女性主人公のレイと、それからヘルメットの中の生身の人間としての人格を初めて見せてくれたフィンの二人が好きだ。
多少の苦悩はあっても、苦悩の中身や進むべき道は右か左のどちらかしか無かった過去作とは違い、レイの心の内はなかなか見えてこない。思春期ゆえの、女の子ゆえの不安定な強さや美しさが見えて、僕が一番最初に思い浮かべたのは「ウォールフラワー」だったりする。僕にはアダム・ドライバーがエズラ・ミラーに見えた。
奉仕するべき物語も、従うべき規範も、戦うべき敵も定かでない若者たちの苦悩が僕にはリアルで、壮大なスペースオペラの結末と共に若者たちがどんなスタートラインに立つのかを見届けたい気持ちが出てきた。
数十年をかけて語り継がれてきた物語の結末が、とらえどころの無い、若者の旅立ちの場になっても僕はいいと思っている。一人でそれをしみじみと味わうし、SNSにアップされる毀誉褒貶のどれもを楽しめることだろう。
エピソード9は今年公開予定らしい。

「スター・ウォーズ」をもっと楽しむために杉山さんの「スター・ウォーズ」もどうぞ。

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スター・ウォーズ” に対して1件のコメントがあります。

  1. 杉山宣一 より:

    “数十年をかけて語り継がれてきた物語の結末が、とらえどころの無い、若者の旅立ちの場になっても僕はいいと思っている。”
    そういう結末になってくれると素晴らしい幕切れになるでしょうね。銀河の彼方でも不安と焦燥を抱えた若者達が、銀河のこちら側の私達と同様に悩み葛藤し乗り越えていく過程を見せてくれるのは力づけられるものです。
    『ウォールフラワー』は私も大好きな映画です。あの映画の中での主人公チャーリーと『ロッキー・ホラー・ショウ』の関係が、丁度私とスターウォーズの関係に近かった様にも思います。”傷つきやすいトリックスター”としてパトリックとカイロ=レンを並置して見るのは慧眼と思いました。

    ※私の小理屈の置き場所を用意していただきありがとうございます。やはり映画は理屈よりも情熱で語るものだという事が再確認できました(笑)

    1. sudara1120 より:

      杉山さん、どうも。
      こちらこそありがとうございました。
      7は劇場公開時に見たものの、惰性で見た感じは否めず、8に至っては未見で、その存在すら忘れかけていた体たらくでしたが、杉山さんに機会を与えてもらったおかげで、改めて9に向けて士気が高まってきました(笑)
      「ウォールフラワー」は我ながら強引過ぎるなぁと自分でも分かっているのですが、単純に風貌が似てるだけに見えた二人が、実は内面も近いところにあるようにも思えてきて、そんなに悪くなかったかも、と思い直しています(^_^;)こちらも見返したくなりましたし、レイのキャスティングに数年前のエマ・ワトソンだったら、それはそれで良かったかも、などと邪道な妄想を膨らませていました。
      再三申し上げておりますが、杉山さんのテキストにはいつもパッションと愛情がありますね。
      引き続き、末永く、頻繁に(^.^)、よろしくお願いします。

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