ミッション:8ミニッツ

クリストファー・ノーランの「メメント」以降、本人の「インセプション」をはじめ、「バンテージ・ポイント」とか、短い時間での巻き戻しと再生を繰り返す映画がブームになっているのでしょうか。
三作品に、今日見た「ミッション:8ミニッツ」も加えて僕は全部楽しめました。謎解きは苦手なので最初からまんまと騙されるつもりで見ているのですが、スピード感があってグイグイ引き込まれます。
「メメント」を見たときに、真っ先に思い浮かべたのは村上春樹の「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」で、「バンテージポイント」だけは色が違いますが「インセプション」にも何か同じ根っこを感じました。そしてこの「ミッション:8ミニッツ」は『「自分の中の世界の物語」と「世界の中の自分の物語」』という基本的構造が同じで、最も近しいと言っていいでしょう。
「世界の終わりと」と、これらの作品を並べた時にもう一つ特徴的なのはラストの解釈です。「自分の中の世界の物語」に継続性や奥行きを持たせていると言えばいいでしょうか。ノーラン作品の場合は、それが逆説的な含みになっていて、それを希望ととればいいのか、無限にループする悲劇ととればいいのか、解釈は分かれるところですが「ミッション」の場合はその物語を最も強く肯定していました。
それから、もっと表面的なことを言えば、世界が終わる最後の数分や、逆に永遠に続く時間という状況で主人公である男性達がする選択。愛する人と、二人で生きていくという選択も、また特徴的です。
そして実に男性的だなぁと。
「今」しかない女性に対して、男性の時間に対しての考え方は過去を何度も巻き戻したり再生したりする傾向があり、そのあたりの違いを考えると、このスタイルの映画は女性監督や女性の主人公では今ひとつしっくり来ないのではないかというのが僕の解釈です。
映画のクオリティとは関係ないですけどね。
それからアメリカのアクターズスクールとかのメソッドも何となく思い出しました。数分の短いシチュエーションを微妙に変えて何度も何度も演じさせるような・・・
ジェイク・ギレンホール、なかなかカッコよかったです。あとは相手役のミシェル・モナハン。僕はこの人、好きだなぁ。眼がいいですね、眼が。
人生最後の数分間、もしくは永遠に続く時間のループの中を共に生きるのなら、こういう女性に限ります(^_^;)

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