「Shall we ダンス?」と「ダンスウィズミー」
新作の公開も控えている周防正行監督の「Shall We ダンス?」を再見した。
直近で見ていて、なんとなくタイトルも似ている矢口史靖の「ダンスウィズミー」との比較が面白かった。
「Shall We ダンス?」の前半は癖のある登場人物や、軽いノリのお笑いシーンが続く。「ダンスウィズミー」をはじめとした矢口の作品とどこか雰囲気も似ている。
それが様相を変えるのは役所広司演じる主人公杉山が憧れの舞先生に厳しい言葉を返されるシーンからだ。その日をきっかけに杉山はダンスに没頭して、ドンドンダンスに夢中になっていく。
彼をはじめとして登場人物一人が躍動し始め、僕らは彼ら一人一人に共感したり、応援したりする。
映画が映画らしく動き出す。
対して矢口の作品にはそういう転回点は存在しない。終始、ゆるく軽妙に話は進み、風変わりで可笑しい登場人物たちは僕らと一定の距離をとり、軽妙なコメディの登場人物としてのみ存在する。彼らの誰にも共感は沸かない。
どちらかが優れていて、どちらかが劣っているということは無く、これはスタイルだ。二人ともが二人とも確固たるスタイルを持ち、それを貫き通している。
僕は二人の監督のどちらも、二つの作品のどちらもが、それぞれに好きだ。