ヘヴンズ ストーリー
集合住宅、白い鳥、窓越しの電話、血まみれの石、クリスマス・・・
もう多分10年位前のデカローグ全10話一挙上映以来の長丁場に挑戦したその日に出会ったのもまた「デカローグ」でした。
この数年、暴力や憎しみを扱った映画がジワジワと増えてきて、僕は何となくそれから逃げ回ってきました。今も居心地の悪さは変わりませんが、それが時代を深く切り取る使命を負った世界中の監督たちの共通のテーマなのだということは分かっているつもりです。
憎しみが連鎖する世界に希望はあるのでしょうか?
憎しみが希望や新しい命を生むことはあるのでしょうか?
憎しみが人と人の繋がりを前提としているのなら、そのことこそが真実に近づく唯一の光なのかもしれません。
「神様はいるの?」
神様がいて、誰でもを正しい方向に導いてくれる神様がいて、一方的に、無条件に与えてくれる神様がいて。
そんな場所ではなく、僕らは人と繋がっている。誰かと繋がっている。ある時には憎しみで、ある時には希望で、ある時には傷つけ合って、ある時には支え合って。ハンパもんが繋がり合って生きている。そんな場所が・・・。
いつもそう思えるわけではありません。時にはドロドロとしたどす黒い憎しみとか妬みみたいなものが抑えても抑えても溢れ出てくることだって。
でも僕はやっぱり温もりとか希望や優しさのようなものを感じていたいのです。
小高い丘から見える小さな街と、その向こうのまた小さな街
桜、夏の陽射し、赤く色づいた落ち葉、雪・・・
見慣れた景色の美しさの向こうに「誰か」を感じることができるその時に。
2010年10月25日 (月)