自分のために、誰かのために
先週の日曜日は小学二年生の娘たちの運動会だった。土曜日が雨になり一日順延の、そしてコロナ対応で学年ごとの完全入れ替え制の簡素な運動会だった。
実は同じ小学校の運動場で6年前にも運動会をしたことがある。
保育園の運動場は小さいので、毎年小学校に会場を貸してもらって運動会をしていた。広い場所で、沢山の大人に囲まれてやる運動会は生まれて初めてで、娘たちがとても緊張していたのを憶えている。沢山の人に注目されて、「頑張れ!」とか「しっかり!」とか言われて、応援とか期待とか、そういうものの圧を感じる初めての経験でもあった。僕自身は運動が全くダメで、割とスポーツが得意だった父の声援や期待が随分重荷で、運動会は大嫌いだった。見に来てもらうのは嬉しかったけど、出来れば駆けっこが終わってからにして欲しかった。なので、娘たちに余計なプレッシャーを感じて欲しくないと、とにかく自分のために楽しんで欲しいと、そのことだけを考えていた。ド緊張の娘たちは駆けっこを終えて、ダンスを終えて、ご褒美を貰うと、やっといつものニコニコ顔に戻っていた。楽しい運動会だった。
余計なプレッシャーをかけたくないという気持ちは変わらないが、それでも娘たちは他人の期待や応援と無縁なわけではないので、だからそういうものを自分の力に変えられるようになって欲しいとは思っている。力に変えて、プレッシャーを味方にして、誰かの期待や応援に応えられるようになって欲しい。それから一緒に戦う仲間と支え合えるようにもなって欲しい。
最近見た「弱虫ペダル」は、そういう映画のど真ん中で、勝つため誰かを蹴落とすためではなく、チームのために走りたい、誰かと一緒に走りたいと、それを最大のモチベーションとしてペダルを回す主人公が実に清々しい。
仕事の世界ならば、同じプロフェッショナルの仲間をリスペクトし、自らの仕事を全うするために全力を尽くす姿も気持ちいい。「LIFE!」の主人公の冒険と成長と、それから彼に代表される数多のプロフェッショナルたちへのリスペクトがとても爽やかだ。
ドキドキの保育園の運動会の6年後、同じ運動場で駆けっことダンスを終えた娘たちは満足げだった。駆けっこはリラックスして力いっぱい走れていたし、ダンスではグループ同士で助け合ってオリジナルの振り付けを工夫したりしていた。
きっと来年からも毎年彼女たちの成長が見られることだろう。
誰かのために頑張れる。仲間と共に支え合える。そんな成長を。
良い運動会だった。