優しい東京(「ヤンヤン 夏の想い出」「東京兄妹」)

仕事納めが終わって、仕事始めまでの数日。オフィス街は人通りも少なくてとても静かになる。良く晴れた日が多くて、穏やかな日差しと冷たい空気の中を歩くのが毎年の楽しみ。少しほっとできて、一人で今年一年を振り返ってみたりする。
今年は、この時期以外にも、静かなオフィス街を歩いた日が何日かあった。仕事も、対面でのコミュニケーションも避けて、皆が家に籠っていた数日。
街の本来の姿は、誰も歩いていない、この風景の方なのかもしれないと思ったりする。誰も歩いてない、その街の中でこそ僕は僕自身と向き合い、大切な人のことを思う。そんな優しい孤独を受容してくれる、この数日の間の街が好きだ。
楊徳昌が「ヤンヤン 夏の想い出」で切り取ってみせてくれた東京にはそんな優しさがあった。
「東京兄妹」の中の東京は、ひょっとするともう今の東京にはないかもしれない優しさがあった。
優しい東京を歩きながら、この1年のことを思う。この1年は街と人が本当の優しさを思い出すための時間だったのかもしれないと。そんなことを思う。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です