THE FIRST SLAM DUNK

「誰の人生にも探求する価値があり、秘密と夢がある」

あまりに有名すぎる原作と、それを何十年もの間、大切に読み続けてきたファンに対して、どんな映画を送るのかと、ほんの僅かの不安と共に楽しみに見に行きました。
バレーボールを頑張っている二人の娘たちに、予習のため、急ぎ買い与えた原作本を、彼女たちが(ちょうど映画の直前まで)読み終えるのを待って満を持しての参戦でした。
「スラムダンクの中で誰が一番好き?」
が、初対面の相手との間の会話としても成立するということを事実として何度も経験している僕としては、それが一人一人に丁寧にスポットライトを当てた群像劇であることは自明の理だったわけで、映画の方もその期待にしっかり応えてくれていました。一人一人ではなく、たった一人にフォーカスすることで、彼と等価の、その他の一人一人(映画に登場しなかった人物まで)の青春が、人生が、立ち昇ってきました。
横糸の広がりが原作とするなら、映画の方は、縦糸を丁寧に紡ぎ、横糸の方は観客めいめいの何十年にもわたる思い入れをそこに自然に組み合わせたような世界になっていました。リョータの世界を通じて、花道や流川やみっちゃんや赤木やメガネ君の青春が立ち昇るような。

「誰の人生にも探求する価値があり、秘密と夢がある」

登場人物の数だけ「スラムダンク」がある。
読者の数だけ、観客の数だけ「スラムダンク」がある。

娘たちも腰を浮かせて前のめりになって映画に夢中になっていました。
我が青春のスラムダンク万歳。

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