とんび

「夕なぎ」の女将、たえ子さんの「1日1日を積み重ねることが、どれだけ大変なことか・・・」という言葉、時間、その重み
オムツ替えてミルクあげて、雨の中ベビーカーを押して、本気で大きな声を出して、汗と涙でグチャグチャになって・・・そうやって積み重ねた1日1日。積み重ねている1日1日。それだけは嘘でないといつも自分の心の中で反芻しています。映画を見ながらも、ずっとそうしてました。
母親を亡くしたアキラを支える沢山の人たち。自身には子育ての経験が無いのに、それなのに「1日1日の積み重ね」を理解してくれて、リスペクトしてくれて、支えてくれる人たち、その温かさ、ありがたさもいつも実感しています。

自分が父親になって、そして父親が晩年を迎えることになって気がつくことも沢山あって、やっぱりカッコいい男の代表選手は永遠に父です。そんなカッコいい父の息子として、自分はちゃんと子供と向き合えているか、それから父に感謝の気持ちを伝えられているか、そういう自問自答も繰り返しています。
入社試験の論文で、それから数多くの小説で、父や故郷の人々を作品にし続けてきた、いわば作家としての“業”のようなものと向き合った時、写真の中で笑う父は本当に幸せだったのか、それはひょっとして自分がそう思い込もうとしているだけなのではないか、そんな自問自答。

大好きな「海よりもまだ深く」の父親と共通する部分も多く、カッコいい男の代表選手を演じさせたら阿部寛さんの右に出る人はいません。子供っぽさや、男の我儘さも全部全部ひっくるめてカッコいい。
(「海よりもまだ深く」でも野球のシーンありましたが、やっぱり昭和の父子は野球なんですよね)

本当のことはその年齢になってみないと分からないのですが、ひょっとして「自問自答」を繰り返しているかもしれない娘に聞かれたら僕は父親としてこう答えると思います。
「そんなの当たり前だ。全部全部君たちのおかげだ。ありがとう」
って。

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