お正月のまちを歩きながら(「ひかりのまち」)
お正月のまちを歩くのが好きだ。
色々な家族の幸せそうな顔が見られるから。
僕自身も、短いお休みの中で、それでもゆっくり家族と過ごせるこの数日が一年の中でも1番好きだ。
その昔、あるオフ会で一緒になった大学生の若者が、次のオフ会のお誘いを受けた時に「その日は家族と過ごさないといけないので」と断りを入れていたのをとてもよく憶えている。「いけない」の一言に彼の責任感を感じたし、誠実に子育てをされたご両親の存在を思った。
あれから10年以上が経ち、研究者になった彼は単身海外に渡り、活躍している。
お正月のまちを歩きながら、道行く幸せそうな家族を眺めながら彼のことと「ひかりのまち」を思い出していた。
主人公三姉妹の弟ダレン。
家出をして彼女と過ごす彼は、その合間に両親に留守番電話を残す。「元気だ」と短いメッセージ。
娘たちも成長すれば、友人や恋人や新しい家族と新年を迎えるようになる。僕がそうだったように。まちを行く人々がそうだったように。それでいい。それがいい。
そんな時に彼女たちがほんの少しだけ僕や妻と過ごした時間を思い出してくれたり、短いメッセージを送ってくれれば最高だ。
そんなことを思いながら新年のまちを幸せな気持ちで歩いた。