パリのレストラン
とても清々しい作品でした。
レストラン最後の1日に集まる所縁の人々、雑多で個性的な彼らの一人一人を実に優しく、丁寧に描写しています。一人一人がどこまでも人間臭く、愛すべき存在です。登場人物全てに対してそれぞれにコメントしたくなるくらいです。
僕が一番好きなのはシェフとその息子の関係です。
父親を尊敬し、愛していてもその気持ちをストレートに伝える事など息子には出来る筈もありません。特別な日、特別な人々に囲まれて初めて息子は父親に自分の気持ちを伝えます。
「パパ、愛してる。」
ただそれだけ、息子は衿の裏側に小さく書きます。そして二人は見つめ合い微笑みます。この一言が言える親子が実際どれだけいるでしょうか?ジンと来ました。
美食は人を幸せな気持ちにしますが、それは相手をもてなす気持ちがあってはじめて可能になります。この映画にはそういうもてなしの気持ちが溢れています。そんな美味しい料理のある所には不思議と心優しい人々が集まります。この映画にもそんな素敵な魅力があって、これを見た人も、きっと少しだけ優しい気持ちになれるはずです。(僕は映画館出てから駅までずっとホクホクしてました。)
こういうお店は大した宣伝無しでも口コミでたちまち評判になりますよね。だから僕も、
是非是非、一人でも多くの人に見てほしい作品です。そしてこの映画について、愛すべき登場人物たちについて、もっと話をしてみたいです。
P.S.
「猫が行方不明」の主人公クロエのルームメイト役が印象的だったオリヴィエ・ピィにまた会えて、とてもうれしかったです。飄々として、とても上手な俳優さんです。
96/11/07(木) 21:31
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