「メールがあります。」の赤い文字(「夜の子供たち」)
「新着メールがあります」
の赤い文字を見たあの瞬間の胸のドキドキを最もリアルに再現した作品はなんだろう?と考えてみました。
メグ・ライアンとトム・ハンクスのあの一世を風靡した共演作を実は僕は見ていなくて。
僕の頭に浮かんだのは作品そのもののシチュエーションではなくて、ある一つの台詞でした。
「暗闇の中、愛の存在を問うと、遠くからかすかに答えが聞こえる。信じられないけど『存在する。』と・・・・・・」
「夜の子供たち」の中でのカトリーヌ・ドヌーヴ演じる女教授の講義の中での台詞。
赤い文字が知らせてくれるメールは、約束された手紙ではなくて、出会うはずの無かった孤独と孤独が共鳴し合う瞬間なのだと僕は感じます。
遠い遠い場所にいる大切な人から
もう何年も会ってない友人から
会ったこともない名前も知らない誰かから
そんな届くはずの無かったメールこそが胸をドキドキさせてくれます。
漱石が「I Love You」を「月が綺麗ですね」と訳したように。
技術の進化が届くはずの無かったメールを届くようにしてくれたというのは、表向きのことで、実際に二人を繋いだものはいつの時代も変わらないのではないでしょうか。