64

名も無き人々に光を当てることは映画が担うべき重要な使命だと僕は勝手に思っている。
大切な家族と平凡な日常を生きている人。
組織の中で課された役目を黙々と果たしている人。
忘れ去られようとしてる昭和最後の年に留まっている人。
見栄えの良い物語のために人々が奉仕するのではなく、“沢山の主人公たち”に最大限の敬意が払われている。
「64」はそんな映画だった。そんな「映画の民主主義」を僕は全面的に支持したい。
そして何と言ってもキャスティング。主役級がずらりと並び、その全員が唸らずにはいられないほどの演技で競い合って。印象に残る人ばかりでしたが・・・。永瀬かなぁ、永瀬はいい役者になりましたね。主役級以外でも、懐かしの烏丸せつ子さんとか、あとは「濱マイク」を思い出させてくれる夏川結衣さんと永瀬の絡みとか。嬉しくなりました。
エリアごとの電話番号簿が意味を為さなくなってしまった今、昭和に留まりつづけて無言電話をかけ続けた父親。一本の無言電話で悲劇の坂をコロコロと転がり落ちる「恐怖分子」なんかも思い浮かべながら、公衆電話からかけられる一本の無言電話に人の心のつながりと微かな希望を感じることが出来た。少しだけ昭和の温もりを感じることが出来た。
2016/7/15

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