いとしきエブリデイ
いかにもウィンターボトムらしい、どこまでも人間臭い登場人物たち
狡さや汚さを抱えて日々を生きていく。
でも真ん中にあるのは子供たちのことを愛しいと思う気持ち。
ギリギリのところでそれを支えている。それに支えられて日々を生きている。
子供たちも純粋無垢な存在ではなく、事情を十分に弁えて、自分の役割をけなげにこなしている。演じている。
でも真ん中にあるのはパパが好きでママが大好きだという気持ち。
理屈や分別とは関係なく、どうしようもなく、本能として。
台詞や演技など、さしてなくても、恐らくは実生活でも、そういうことを必ず抱えて感じている子供たちの成長や変化をキチンと写し撮りさえすれば、そこにはドラマが立ち上ってくる。
ドキュメンタリーのようなドラマ、ドラマのようなドキュメンタリー。
狡くて汚くて人間臭い者同士が自分を認めて相手を赦して、そうやって日々は紡がれていく。そうしてこそ大切な日々が紡がれていく。
大好きな「ひかりのまち」の中で(この作品でも母親役の)シャーリーヘンダーソン演じる三姉妹の長姉が、どうしても真っ当な生活を送れない別居中の夫のことを息子に語るシーンを思い出した。
「パパは本当にどうしようもなくダメな人。でもお前のことが好きで大事でたまらないのよ。」
僕もどうしようもなくダメな奴だけど、でも君たちのことが好きで大事でたまらないよ。