偽りの怒り(「大地と自由」「ブレッド&ローズ」「麦の穂を揺らす風」)
「偽りの怒り」が僕は怖い。
直接的には殆ど関連のない誰かを罵る。
ひとりの人間の手に余るほど大勢の人達(たとえば人種全体とか)を攻撃する。理由もなく、責任もなく、フェアな関係もなく、ただ一方的に投げつけられる怒り。
ケン・ローチなら、彼らをどう見るだろう。どんなに困難な状況でも毅然と「NO」と言い、勝ち負けではなく「戦うこと」そのものを求めている彼なら。
「誰も敗者とならぬ戦いをしようではないか」
「大地と自由」「ブレッドアンドローズ」「麦の穂をゆらす風」
彼の映画の中で繰り返されてきたそんな台詞だろうか。
一方的な勝者、強者としてそこに居座ることを前提にした怒りこそ醜悪なものはない。怖ろしいものはない。
「ブレッド&ローズ」
https://cinemanokodoku.com/2018/12/15/breadandroses/
「大地と自由」
https://cinemanokodoku.com/2019/04/25/landandfreedom/