地球の裏側とつながっている(「PARIS」「イン・ディス・ワールド」)
権力闘争や空虚なマウンティング型議論に興味はないが子供たちにとってより良い未来を選択したいとは思っている。だから知るべきことは知っておきたい。
毎日テレビに出てくる芸能人の話題よりも、地球の裏側で起こっている出来事の方が実は僕たちにとっては重要で、子供たちの未来と密接に関わっていたりする。
そういうことを知っていて、そういうことを切実に感じている人とそうでない人の間には明確な違いがある。
フランス、イギリス・・・。ヨーロッパの人たちに比べると僕たちはそういう意識が圧倒的に希薄だ。
セドリック・クラピッシュの「PARIS」に忘れられないシーンがある。パリを目指して小さな舟に乗り決死の密入国を試みる青年。彼が話しかける電話の向こうのパリの人々の、安全で、きらびやかな日常。たとえ本人に実感はなくとも、実はその二つは繋がっているのだと映画は教えてくれる。
ウィンターボトムの「イン・ディス・ワールド」もそう。アフガニスタンを脱出してイギリスを目指す少年。彼の逃避行もロンドンの「ひかりのまち」と地続きだ。
彼らは、知らない何処かの誰かのドラマを見せるのではなく、自分たちと深く関わるドキュメンタリーとして世界と向き合っている。
僕も、物理的な距離でなく、大切な人の未来を思う心の距離で、地球の裏側の人たちのことを身近に感じたい。