のら猫の日記

何だかすごく良い!!どこまでもオフビートな感覚が心地よい。
優しくておかしくてちょっぴり哀しい映画!でも元気になれる。

と、これだけでやめておけば良いのですが、僕は堪え性がないのでやっぱり余計なことを書くことにします。

この映画は「家族の崩壊」を取り上げながら、それでもどこまでも希望に溢れています。これはこの映画が家族の存在自体は決して否定せず、むしろ本質的な家族のあり方を描いているからでしょう。
エレインと、それからお間抜けな別荘の持ち主ハンプレイズの身の上は必要以上には語られていませんが、何となく二人ともに家族の愛情には恵まれていない状況が示唆されています。エレインは中絶か流産の経験が有りそうだし、ハンプレイズは「独りになってしまったから」別荘を訪れたと言っていたし。
偶然似たような境遇の人が集まったようにも見えますが、実はこういう人達の方が案外多いということなのかもしれません。

家族は「血が繋がっているから」一緒に暮らしているのではなく、色々と納得の行かないところがあっても、それでも愛すべき存在だからこそ好き好んで一緒に暮らしているのです。決して、他に選択肢がないわけではありません。嫌なら家出をすればよい。16と11の小娘でもきちんと生きていけるほど(決して楽ではないけど)アメリカは広いのだから。どちらかというと、きちんと生きていかなくてはいけなくなるほど、アメリカは広いという方が合っているかもしれません。

映画の冒頭、自分達の身の上を語るマニーは
「姉は良い人だ。」
と言います。この台詞、一見冷めているのですが僕はとても好きです。しっかりしているようでやっぱり幼いマニー。彼女は決して自分の姉だから仕方なくモーについて旅をしているわけではありません。困ったことも多いけど、やっぱり姉は愛すべき存在であって、だからこそ彼女は一緒に旅を続けているのです。そんなに辛いわけでもない。マニーはきちんと自分の生き方を自分で選択しています。

エレインがはじめてマニーに心を開き、話をする時の台詞も好きです。

「犯罪は許せないわ。でもあなたはとてもいい子よ。」

このとき、エレインは「You are very young and fine lady」と言うのです。
「レディ」と言ってもらえたマニーの嬉しそうな顔が印象的でした。

あ、それから、男の子を産んだ直後のローがきちんとお母さんの顔になってい
るのも良かった!

「Manny & Lo」という原題から「のら猫の日記」という邦題はとても上手いですね。
ある日突然姿を消してしまっても、多分誰も気がつかないかもしれないけれ、
街の片隅で肩を寄せ合ってそれでも逞しく生きているのら猫達は、きっと血など繋がっていないのでしょう。猫は決して群れなど作らない動物だと聞いたことがありますが、でも彼らも信頼し合うことで生きているような気がしました。
98/02/11(水) 22:54

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