ゴースト・ワールド

イーニドにとっての現実は折り合いをつけるにはあまりにも腐っていて何もかもがかっこ悪く、臭く、ダサいものに見えたのでしょう。彼女は正しい。なぜなら彼女は他人がカッコいいと思っている虚栄のようなものは寄せ付けず、自分の世界を守ることのダサさはダサいのを通り越して実はとてもカッコよいのだと知っているから。
レベッカはイーニドとは別のかたちで自分の世界を守ろうとします。自分の世界を守る為に小さなゾーンディフェンスをしいて、そのゾーン以外のところではきっちりとつまらない現実と折り合いをつけようとするのです。
「あなたがモテナイ世の中が許せないのよ。」
イーニドが小さなゾーンディフェンスをしくのなら、彼女はそっとシーモアのそばに寄り添ってあげればそれでいい。そして彼も恐らくはそれを望んでいたのでしょう。
でも彼女は街を出ます。「ある日突然ぱったりと消息を消す」のです。
彼女にはこの世がカッコ悪くて臭くてダサくて偽善に満ちているのだと、口に出すことをやめて、こじんまりと自分の世界だけを守るようなことは出来なかったのです。
レベッカのような人が増えています。程度の差こそあれ皆そうなのでは?でもだからこそ、いつまでもとんがっているイーニドのような存在が羨ましくもあるのです。
スティーブ・ブシェミは相変わらず貫禄の(?)情けなさを好演していました。
実際、割と彼のようなタイプって年の離れた若い女の子に人気があるのではないでしょうか。しっかりとして自立心が強い女の子なんかに。「トゥリーズ・ラウンジ」も思い出しました。
ゾーラ・バーチは「アメリカン・ビューティー」の時と同じような役所。とにかくこの世の中が嫌で嫌でしょうがないのでしょう。よくわかります。それから巨乳も健在でした。
レベッカ役のスカーレット・ヨハンスンはどこかで見たと思ったら「のら猫の日記」(この映画は大好き)でした。随分大人っぽくなりました。あの映画の彼女は決して妥協して現実と折り合いをつけるようなことはしない少女でした。
01/10/11(木) 22:32

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です