かけがえのない1日(「リンダ リンダ リンダ」)
「かけがえのない一日」とはいつどのようにして訪れるのか?
トーナメント大会の決勝戦のように少しずつその日に近づいて満を持して迎える場合もあるが、実はそれは予期せぬタイミングでやって来ることが多い。そしてそれを様々な偶然の積み重ねの末にグッと引き寄せてしまうのが青春だ。
文化祭に向けて練習をしていたガールズバンドが空中分解してしまい、新しいボーカルを探すことになった3人。半ばやぶれかぶれで彼女たちは偶然に身を任せて新メンバーを選ぶ。それは韓国からやってきた片言の日本語を喋る留学生。曲は偶然、部室で見つけたブルーハーツ。
その強引なほどの力技は、しかし少しも強引に見えない。それが彼女たちの青春だから。
そして演奏当日、彼女たちはまた幾つかの偶然を手繰り寄せる。寝不足で迎えた当日練習、揃いも揃って寝過ごしてしまった本番ステージを仲間たちが飛び入り演奏をして繋いでくれる。(「ブルース・ブラザーズ」の「Minnie the Moocher」だ!)
土砂降りの雨の中、ずぶ濡れの制服姿のままステージに辿り着いたメンバーたち。突然の雨で全校の生徒達が雨宿りのために会場の体育館に押し寄せる。
そしてあのビートが流れ出す!
「かけがえのない一日」が動き出す。
それは演出の力?それもある。でもそれは紛れも無く青春の持つ圧倒的なパワーのなせる業だ。