記憶にございません!

あの国会での答弁はチャップリンの「独裁者」なんだろうか。
人道主義と自由と平和の大切さを訴え、戦争と独裁者の矛盾を糾弾したチャップリンは、最後にたった一人の大切な人だけに語りかける。そこが抜群に良い。説得力とリアリティがある。
たった一人の大切な人を幸せに出来ない人間が沢山の人を幸せにすることは出来ないと。
臨終の間際に、もう一つの人生があったなら、もう一度人生をやり直せたら、と思うことは天下国家のことではなく、たった一人の大切な誰かへの思いである筈だ。そういうことを思える人にこそ人は自分の人生や大切な人の未来を託すものだ。

三谷幸喜という人は「男と女」や「親と子」のことを語るのがあまり上手な人ではない(「友情」や「プロフェッショナルの矜持」を語るのは惚れ惚れするほど上手い)。多分ご自身もそれを自覚されているのでは。
この作品はそういう彼の不器用さがそのまま出ていて、それが映画自体の、それから主人公自身の魅力になっていて好感を持てた。
そういう不器用さ、真っ直ぐさ、愚直さを誠実に演じられる中井貴一は本当に良い俳優だ。エクセントリックにならず、演じすぎず、普通の役を普通に演じられるのは見事だ。
「好みのタイプだったから。」それで十分じゃないか。
「大人になったら総理大臣になって世のため人のためになりたい。」それでいいじゃないか。

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