男はつらいよ お帰り寅さん

大切な人への思いを後になって知らせることの出来る、大切な人の思いを後になって知ることが出来る「答え合わせ」は現実には殆ど存在しなくて。もしあったとしても、それは、ほろ苦かったり、もっと悲しかったり。だからこそこの映画のファンタジーに何度も何度も胸を締め付けられてしまいます。愛おしくなります。

父がいて、母がいて、姉がいて、皆で囲む食卓があって、笑い声があって、会話があって、川の字で寝て。
色んな人のことを好きになって、大声で叫びたくなるほど好きになって、悶々として、沢山フラれて、泣きたい夜があって、君が真夜中にくれた手紙が僕の心に灯を灯してくれて、大切な人がいて。
僕を頼る家族がいて、仕事があって、日々の暮らしがあって、お金の悩みがあって。
母が逝って、父親と沢山話をして、たまに電話して、ありがとうと言われて。
娘たちが生まれて、大きくなって、「大丈夫?」って言ってくれて、大好きだよって抱きついてくれて。


寅さんのような生き方や、この映画に出てくる人たちの優しさを、実感できて信じられていた時代は、ただの昔話や思い出話になってしまうのでしょうか。いつも寅さんの夢で始まるフィクションを、それでも自分の日々の暮らしと地続きに感じられていた時代はやっぱり無くなってしまい(失われてしまった・・・いったい誰がそうしてしまったのか?)、ただの作り話を娘たち新しい世代の人に押し付けるわけにもいかず。


だけど、だけど、どんなに時代が変わろうと、人が変わろうと、変わらずに人の心を温めるものの存在だけは伝えてあげたい。
永く遠く離れていても思い続ける心、見返りなど求めない優しさ、身を焦がすような恋、憧れ・・・その他にも、もっともっと。
大切な人に手紙を書かなきゃ。懐かしい場所を訪ねなきゃ。お世話になった人に会ってお礼を言わなきゃ。日々をしっかり積み重ねなきゃ。娘たちに伝えなきゃ、残さなきゃ。


山田洋次監督が、1年のはじめに日本人のために送り続けてきた作品を、今年最初の映画館で見る一本として見ることが出来ました。ありがとうございます。

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