男はつらいよ 望郷編
月の綺麗な夏の夜、結婚のことで母親と揉めた娘を寅さんが慰めるシーンが、とても優しくて切なくて好きです。
誰かが誰かの力になる。
金やシステムが誰かを救うのではなく、誰かが誰かを救う。ただの一方的な施しではなく、一方的な奉仕や従属でもなく、救いながら救われる。
所詮僕らは皆んなハンパ者のはぐれ者。
ハンパ者、はぐれ者を許さぬ世の中に何の意味があるのか?
寅さんの優しさ、不器用さが沁みます。
彼の優しさは決して報われぬ優しさなのか、そうではないのか?
「男はつらいよ」を見ていると、映画とは「優しい嘘」なのだなぁと心から思います。僕は無責任な現実(テレビやネットで大量に生産される)より「優しい嘘」こそが人の心を温めてくれると思います。
寅さんがハブに噛まれて死んじゃわなくて本当に良かった。