ジェネラル・ルージュの凱旋

再び全権を託され、次々と搬送されてくる患者を迎え入れる完璧なオペレーション、チームワーク。鳥肌が立つような、まさに「凱旋」の名に相応しいシーンでした。

「敵を作らない仕事などない。」
これは最近別のところで聞いた言葉です。若き日の体験から数年、ただ結果だけを求め、時に手段を選ばず、日々の研鑽や、未来の為の投資を欠かさなかった彼の仕事が野戦病院さながらの修羅場で結実するのを見て、自然に思い出しました。

敢えてそういう言葉で自分を鼓舞しなければいけないのも確かなわけで・・・。
弱さと強さ、優しさと冷徹さ、清と濁を併せ持つ男の魅力を存分に演じていた堺雅人。掴みどころがないように見えて、実は熱くて硬く決して折れない自分を持っている、こんな魅力的な男を見せてくれて、どうもありがとう。男ってこういう生き物なんだって、僕は思います。
一作目で、そういう男の魅力をチラッと見せてくれていた佐野史郎(えらいこっちゃ、えらいこっちゃ・・・)に堺雅人が深々とお辞儀をする場面もありました。彼等は同じ戦場で戦う「同志」なんでしょう。

たった一つだけ引っかかったところ。
白鳥が手配してくれた医療ヘリを屋上で迎え入れる時の速水の表情。あの時彼は何か感慨に浸っているような顔をしていました。これは彼の中にある「弱さ」や「優しさ」が思わず出てしまったからなのかもしれませんが、戦場に立つ「将軍」にはどうしても似つかわしくないように感じられました。そういう顔は口紅を差し出されるあのシーンだけに集約し、屋上に立つ彼にはギラギラとした目つきで患者を乗せたヘリを睨みつけて欲しいと僕は思いました。
虚勢を張って自分を鼓舞しなければいけないのは僕も同じだからなのかもしれません。
2009/3/15

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