チーム・バチスタの栄光

面白かった!
そう言えば、あの人も、あのシーンも・・・と次々思い浮かべることの出来る、曲者揃いの登場人物たちのちょっと忘れられない 表情にいくつも出会うことの出来る、そんな映画でした。
嘘やごまかしの通用しない世界というのがいくつかあって、「人の命を預かる手術の現場」っていうのは多分それの最も典型的な場所なのでしょう。気難しい性格を疎んじられながらも、日々の研鑽と努力を怠らなかった垣谷医師が、見事にチームをまとめあげ手術を成功させるシーンには十分に説得力がありました。
心療内科の田口医師は彼とは正反対で、恐らくは優れた才能を上手にセーブして多分薄いバリアーのようなもので自分を守りながら器用に生きてきたのでしょう。的確な洞察力と頭の回転の速さで、スルスルと事実を解き明かす展開を予想していた僕も甘ちゃんでした。半端な世渡り術など「命のやり取り」の前では通用する筈もなく、彼女は生まれて初めて無機質な電子音が響く手術室での「殺人」を目の当たりにすることになってしまいました。涙を流し、力なく廊下に座り込む彼女も忘れられないなぁ。
エキセントリックな役柄がすっかりお手の物になってきた阿部ちゃん演じる白鳥も存在感がありました。他人の目とか、軋轢とか、そういうもの全てを凌駕する絶対性を持ち、あらゆる矛盾を抱えながら、ただ事実を突き詰めるということだけ結果を出すということにだけ、一切の妥協も逡巡もなく切り込むことが出来る人。役人の世界も高いレベルで「嘘やごまかしの通用しない世界」であるんだろうなぁ、本来は。
映画では「みんなのいえ」以来の田中直樹は、絶対にこういう役が向いてるだろうなぁと前々から思っていました。この先、ずっとこういう役が続いてしまうと新鮮味がなくなるので10年くらい経って忘れた頃に、またやって欲しいところです。野際陽子、平泉成、國村隼・・・皆キチンと存在感が出ていました。台詞は「少々難あり」かとも思いましたが、逆にそれが味になっていて、あとは喋らないときの存在感があって吉川晃司も好きです。
閉鎖的な空間、交錯する人間関係、スピード感、緊張感・・・去年の「キサラギ」にも少し似ていますが、あちらは最後が少し残念だったのに対して、こちらは上手に締めていたのではないでしょうか。
2008年02月21日23:07

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