「マイ・ブルーベリー・ナイツ」
二番目に好きな「天使の涙」を抜きにすれば、一番好きな「恋する惑星」に一番似ている作品でした。変に巨匠ぶったりせずに、こういう映画だけを撮り続けてくれれば良いのになぁと心から思いますが、案外この映画も“巨匠の意気込み”で撮ったのかもしれません。
真夜中のバーにも、手巻きのタバコにも、アイスクリーム付きのブルーベリーパイにも実際には何の接点もないのに、なんだか懐かしい気持ちになってしまいました。実際に自分が思い出していたのは、もっと冴えない、八頭身の登場人物など一人もいない夜のことなのですが、それでもまるで自分があの同じ場所に居合わせたように感じられてしまうのです。
ムービースターを等身大に感じられて、自分もその一人になり切ってしまえる。
そんな映画は最近すっかり少なくなってしまいました。
あぁ、それはきっと映画のほうじゃなくて見る側の問題なのかも。
待ち続ける男と、帰ってくる女、二人の間に流れた時間と距離をカウントして。
夜の街と、偶然の出会いと、雰囲気のあるBGMと・・・
「相変わらずこの手を使ってるの?」なんて言って彼のことを陳腐化するのは簡単だけど自分ひとりで見るのなら、とっぷりとそこに浸ってしまう方がずっといい。
香港がブエノスアイレスになっても、ニューヨークになっても、やっぱり僕らは恋をして別れと出会いを生きているんだなぁって、久し振りにそんな穏やかな温かみが胸の辺りに残りました。
2008年04月03日20:05
この映画を教えてくださって、ありがとうございます。
いえいえ、またお越しください。