王家衛、欲望の翼、それから・・・

最初に見たのは「恋する惑星」だった。

後にも先にも、これ以上の邦題には出会っていない。
フェイ・ウォンの「夢中人」の、あの体が宙に浮くような高揚感を味わいたくて何度も劇場に足を運んだ。京橋の「テアトル西友」だったと思う。
その後は姉妹作の「天使の涙」の「Only You」を聞くために渋谷のシネマライズを何度も訪れた。会社の帰りにわざわざ最終回を見たり。
ネットで繋がっていた映画ファンの話題もウォン・カーウァイで持ち切りで、だから僕は自分だけ「欲望の翼」を見ていないのが悔しくて、どうせ見るのなら絶対劇場で見たいと、そのためメディアでは予告編以外見ないようにしていた。
来年の春に「欲望の翼」の再上映が決まった。あれからもう四半世紀も過ぎてしまった。
四半世紀!
「テアトル西友」も「シネマライズ」も無くなり、レスリー・チャンも、もういない。
途方に暮れるほど寂しいし、なんだか無性に腹が立つ。
なんで真っ当なものが姿を消してしまい、駄モノが幅を利かせるのか。
僕はいったい今まで何をしていたのか。
そんな寂しさや腹立たしさを抱えながら、来春はなんとしても「欲望の翼」を見に劇場に足を運ぼうと思う。
言い訳とか、見て見ぬ振りとかは無しだ。
2017/11/18

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