運命の出会い(「ラ・ラ・ランド」「デカローグ」「ワンダーランド駅で」)
「ラ・ラ・ランド」のオープニング、大渋滞のハイウェイで偶然出会った二人は、その後も何度も何度も偶然出会う。「これは運命なんだ」と自分でも認識してミアはピアノの調べに啓示を受けて夜の街を駆けていく。緑色のイブニングドレスで、浮き立つような笑顔を浮かべて。
「デカローグ」第一話の父親は第三話の冒頭に疲れきった顔で登場する。第二話の夫婦は第五話のタクシー運転手に乗車拒否される。第六話の青年は第十話の兄弟に切手を売る。第八話の講義のシーンでは突然第二話の夫婦の話が挿入される。出会いが偶然なのか、運命なのかは本人たちにも観客にも判然としない。
「ワンダーランド駅で」の二人は最後まで出会わない。映画の中のどこにいてもちゃんとライトが当たっている二人、出会うはずの二人なのに。探すことが出会うための最短の近道ではないのに探し続けてしまう二人。「でも大丈夫。きっと幸せになれるから。」と声をかけてあげたくなる。
数え切れないほどの偶然と、運命を手繰り寄せる意志と、神様や監督や観客の祝福があって、初めて映画のマジック「運命の出会い」が生まれる。