姉妹だけのサンクチュアリ(「海街diary」「東京兄妹」「誰も知らない」)

「海街diary」の三姉妹と異母妹の4人の暮らし。
長女が母親代わりとなって家を切り盛りし、妹たちは適度に距離を置き、適度に自立しながら同居をしている。もちろん三女までは十分に大人と言ってよい年齢なので、その暮らしの順調さは当然ではあるのだけど、彼女たちが祖母の死後、家を出ること無く、姉妹だけで一軒屋を守り暮らし続けてきた、そこにはファンタジーがある。
子供たちだけの姉妹たちだけのサンクチュアリ。
真っ先に浮かんだのは市川準の「東京兄妹」。こちらも両親を早く亡くした兄妹が都内の一軒家に、そのまま暮らし続ける。父のような夫のような兄と、母のような妻のような妹。そんなファンタジー。
そう言えば、この二つの映画は冒頭のシーンに共通点がある。「海街diary」の方は男の傍らで裸のまま眠る次女のシーン。「東京兄妹」の方は唐突に妹の入浴シーンから始まる。どちらも、それぞれの女性が、成熟した大人の女性であることを端的に語っている。成熟した大人の女性が独立して家を出ること無く、サンクチュアリに留まっているのだと。
そう言えば是枝監督の「誰も知らない」にも、子供たちだけのサンクチュアリがあった。前の二つに比べると危うさ、脆さがあり、実際に悲劇になってしまうのだけど、そうなる前の子供たちだけの暮らしには、やはりファンタジーがあった。
子供たちだけのサンクチュアリ、ファンタジーには、悲劇的な結末(「東京兄妹」や「誰も知らない」の場合は誰かの死)か、もしくは、そこが永遠に続くと思わせるような説得力のどちらかが必要で、そういう意味では「海街diary」には、鎌倉という場所の持つ説得力が備わっていた。
「鎌倉だから」というそれだけの理由で十分に説得力のあるファンタジー。
皆んな優しく、皆んな愛しく。
家族、青春、恋、仕事、それから死、逝く人、送る人。
自転車二人乗り、桜のトンネル・・・。
あの家は今でもあの場所にある。

「東京兄妹」
https://cinemanokodoku.com/category/title/tokyokyoudai/
「誰も知らない」
https://cinemanokodoku.com/2019/07/04/nobodyknows/

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