ヴェラ・ドレイク

「僕は許す。僕は許すよ。」って呪文みたいに何度も唱えていました。映画が終わってもしばらくずっと。

「ありがとう。感謝している。今日は人生最良のクリスマスだ。」
決して感情を表に出すことのなかった彼の言葉が忘れられません。感情をストレートに表現しなかったのではなくて、上手にそれを出来なかった。マイク・リーの映画には、そういう登場人物たちが沢山出てきます。と言うか、そういう人たちしか出てこない。見ていると少しイライラして「大丈夫なの?」って思ったり、「しっかりしろよ!」って思ったり。いつも最初は彼らのことを見下ろしながら見始めるのですが・・・。最後はいつもカウンターパンチ。

彼の一言と、それから母に代わって祖母の世話をするという娘と、あとはラストシーン。何も言わず、いつもと同じ食卓を囲んで母の帰りを待つ家族たち。刑期が半分で終わることよりも、もっと大切なもの。良質のイギリス映画だけが見せてくれる究極の希望が間違いなくそこにはありました。
05/09/18(日) 14:15

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